メールマガジン2014 年 11月号
11 月に入り、寒くなってきましたが、体調はいかがですか。
風邪など引かないで、今年のラストスパートを駆け抜けましょう！
Contents
１．風邪について
２．インフルエンザワクチンの予防接種のごあんない
１．風邪について
今月は冬に多い、皆さんがよくかかる病気、「風邪（かぜ）」についてお話しします。風邪の症状としては「咽頭痛、咳、痰、鼻水」の他に高熱を伴うときは「頭痛、関節痛、筋肉痛、腰痛、倦怠感」なども伴います。風邪の原因は①ウイルス、②細菌などの病原菌の他に、③抵抗力の低下を招くような寝不足、ストレス（働きすぎ、心配事、心の負担）、寒冷などが主なものです。
ウイルスも細菌も人から人へ飛沫感染として伝播しますが、このウイルスと細菌はまったく性質が異なります。ウイルスは電子顕微鏡でないと見えないような極めて小さな病原菌ですが、細菌はそれよりもずっと大きく普通の光学顕微鏡で見ることができます。また、ウイルスは細胞を持たないので自分自身で増殖することができず、必ず生きた生体を借りて増殖することができるのに対し、細菌は栄養と水など適切な環境が与えられれば、培養することが容易、すなわち増殖することが自分でできます。この細菌とウイルスの区別がなぜ重要かというと、治療内容が異なるからです。
すなわち、細菌に対しては種々の抗生物質が存在し、薬を使うことでこの細菌を死滅あるいは減らすことができます。これに対しほとんどのウイルスには抗生物質が効きません。したがって、治るためには生体が持つ、自然治癒能力、すなわち免疫力が必要です。逆に、この免疫力（抵抗力）が低下するから、風邪にかかる（上記③）とも言えるのです。免疫力を増加させるには昔から言われているように、安静・療養・十分な睡眠・不安のないこと・安らかな環境・規則正しい生活が大事です。では症状でこの細菌とウイルスのどちらが原因かを区別することはできるのでしょうか？
結論は完全に区別することはできません。ではどのようにして私たち医師は区別しているのでしょうか？例えば、「突然 38℃以上の高熱が出て、頭痛・関節痛・筋肉痛もあるのに呼吸器症状はそれほどでもない」という場合はインフルエンザ（これはウイルスが原因）を疑い、まず外来でインフルエンザ鑑別迅速キットを用いて検査
します（ちなみに本検査は中国の一般の病院ではあまり行われません）。鼻の粘膜を綿棒でぬぐったものを検体として免疫学的な方法で検査します。結果は１５分以内に出ます。もし、陽性ならば、インフルエンザの診断が確定しますのでタミフル等の抗インフルエンザ薬を処方します。インフルエンザ陰性のときは血液検査を行います。もし、白血球数が普段の値より明らかに高い（例えば、1 万/μL 以上）場合は、細菌感染の可能性が高くなります。
この場合は、抗生物質の点滴を行い、さらに内服の抗生剤も追加します。もし、白血球数が明らかに普段の値よりも低い（たとえば 3000/μL）場合は、インフルエンザ以外の風邪ウイルス（たとえば、アデノウイルス、ライノウイルス、パラインフルエンザウイルスなど）が疑われます。ここで述べた「白血球数の普段の値」は個々の人によって異なりますが、同一人物であればほぼ一定している値です。したがって、健康診断のときの白血球の数値を覚えておくことは患者さんにとって有益です。もし、白血球がふだんとそれほど変わらない場合は、ウイルスが原因か、細菌が原因かどちらとも必ずしも言えません。
しかし、痰が黄色かったり、化膿性扁桃腺の既往があったり、あるいはリンパ節が腫れているような人には抗生物質を出すことがしばしばです。抗生物質は一部の副作用が出る人を除くと、仮にウイルスが原因でも短期投与（１－２週間）であれば、患者さんに不利益を与えることが少ないからです。
２.インフルエンザ予防接種のごあんない
インフルエンザワクチン予防接種を開始しております。なるべくご予約の上、来院下さい。
ご予約の際は希望日時、お名前、お知らせ下さい。
料金： 230 元/1 回(ヨーロッパ製)
※ 詳細、料金などは、E メール morishige@suzhou-morishige.com または
お電話 TEL: (０５１２)６８１８－８００１（渉外担当・加藤）までお問い合わせください。
〇インフルエンザかな？と思ったら
できるだけ早めに医療機関を受診することが必要です。早めに治療することは、自分の身体を守るためだけでなく、周りの人にインフルエンザをうつさないという意味でも重要なことです。
インフルエンザが流行する冬季には、インフルエンザ以外の感染症も流行します。そのため、正確な診断を下すためにはインフルエンザウイルスに感染しているかどうかの検査が必要です。
蘇州森茂診療所ではすぐに結果が出る検査キットを用意しておりますので、おかしいなと思ったらすぐに受診してください。
