メールマガジン2019年07月号

記事更新日:2019-06-14

■ 腸活とは


前回は中国赴任後に出会う食生活変化についてお話をしました。
今回は、食事より前に遭遇する大気、そして、それがからだに関わる呼吸のお話です。 一日に呼吸を何回するか、想像がつきますか?その数、なんと2万回! つまり、正しくない呼吸をすると、連日2万回分のダメージが病気のリスクを高めてしまいます。 怖いですよね。


私は正しい呼吸が出来ていると自負していたのですが、昨年暮れの蘇州では、前日がPM2.5で高速道路が閉鎖だったこともあり、これまで体験した事のない鼻や喉の不快感で悩まされました。 たとえば、こんな症状はありませんか?
  ・いつも鼻がすっきりしない、ノドに鼻水が落ちて痰がへばりついて不快
  ・いつもカゼ気味、唇が乾いて声が枯れる、起床時にノドが痛いことがある
  ・咳が出だすととまらない、午前中にフワフワ系めまいがある
  ・イビキがひどい、睡眠時無呼吸と言われた事がある
  ・肩こりがひどい、首筋がカチカチで治らない、頭痛は原因不明と言われた
これらの症状で受診しても異常なしといわれる。薬もまったく効かない。驚くほど多くの方々がこのような症状でお悩みです。しかも、大学病院などの大学院耳鼻科・脳神経外科・内科を受診しても改善しないのが実情です。


その原因は、無意識のうちに習慣になっている口呼吸です。本来、呼吸をするのは鼻の役目。しかし、会話が日常 習慣になり、あまり咀嚼しなくても呑み込める食事になれ、猫背が多くなった現代人にとっては、いつしか、口で呼吸 する癖がついてしまったのです。ところが人間の口・鼻・喉・気管の構造は、その変化についていけません。本来、飲 食をするための口が呼吸を担う事によって、鼻と喉の中間にある「上咽頭」が、毎日2万回分のダメージを受けるこ とで病気になるのが「慢性上咽頭炎」です。


「上咽頭」といってもイメージが湧かないことでしょうか。泳いでいるとき、鼻に水が入ってひどく痛んだ経験がありま せんか?水がシミで痛む部分が上咽頭です。口呼吸をすると、のどの奥から鼻の方へ乾燥して汚れた空気が逆流 することで起こるのが「慢性上咽頭炎」です。


この病気と治療については50年近く前は、耳鼻科でも治療されていましたが、診断と治療方法が確立されなかっ たために忘れられてきました。しかし、「鼻に水が入るとしみるところ」がいつもくすぶっていると、さまざまな全身の病 気が起きることが近年わかってきました。さらに内視鏡でわかりやすく診断できるようになって、治療方法を研究する 学会もできました。


私は胃腸科医ですが、2004年に九州で初めて「鼻から胃カメラ」を実施しました。それが縁で、慢性上咽頭炎の 内視鏡診断と治療についての学会発表を定期的に行っています。


これまでの蘇州での診察で、日本と比較して、中国ではいっそう慢性上咽頭炎による症状でお悩みになる方が多 いことがわかりました。前述のように、慢性上咽頭炎による症状は、内服では治りません。決め手は、Bスポット治療 と呼ばれる綿棒などによる鼻の治療です。また、鼻うがいや青梅成分の点鼻液をつかい、口と舌の運動によって口 呼吸から鼻呼吸へ転換をはかることが大切です。


Bスポット療法は、昨年はじめ頃から日本でも知られるようになりました。詳しくは、蘇州森茂診療所にある書籍や VTRをご覧ください。日本でも、確かな技術でBスポット療法を受けられる診療所は限られています。是非私が 訪問させて頂くときに、受診されることをおすすめします。

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