メールマガジン2017年4月号

記事更新日:2017-04-11

春風に誘われて、外出の機会も多くなりました。お花見や行楽には良い季節になりましたね。今月も健康に役立つ情報をお届けいたします。

CONTENTS

1.大人が重症化する「春の感染症」
2.ピロリ菌について
3.休診日のお知らせ

1. 大人が重症化する「春の感染症」

インフルエンザの流行がほぼ終息し、ほっとしたのもつかの間、春には春の感染症が流行し始めます。風疹、はしか(麻疹)、おたふく風邪(流行性耳下腺炎)は、主に春に子どもの間で流行する病気ですが、大人がかかると重症になりやすく、中でも働き盛りの男性に多い風疹は周囲の妊婦への感染に注意が必要です。

病名 風疹 麻疹 流行性耳下腺炎(ムンプス)
俗称 3日はしか はしか おたふく風邪
症状 発熱、発疹(額や顔から全身に広がる)、耳の後ろのリンパ節が腫れる 発熱、鼻汁、目やに、全身の発疹、口の内の白い発疹(コプリック斑という) 耳の下(耳下腺)や顎の下(顎下腺)がぷっくりと腫れる、頭痛、発熱
感染経路 飛沫感染、接触感染 空気感染、飛沫感染、接触感染 飛沫感染、接触感染
潜伏期間 4~21 日 10~12 日 14~24 日
学校保健法が定める出席停止期間 発疹が消えるまで 熱が下がって3日を経過するまで 耳下・顎下の腫れが出てから5日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで
合併症 髄膜炎、突発性血小板減少性紫斑病 肺炎、髄膜炎、脳炎 精巣炎・卵巣炎、髄膜炎、聴力障害
ワクチンの費用(*) 風疹・麻疹の混合ワクチンが8,000~10,000円程度 5,000~8,000円程度

※蘇州森茂診療所では風疹・はしか・おたふく風邪のワクチンは取り扱っておりませんが、ワクチンを接種できる病院のご紹介は可能です。詳細はお問い合わせください。

【20~40歳代の男性は風疹に注意】

働き盛りの世代の男性は風疹に注意してください。風疹は、発熱、発疹、リンパ節の腫れを特徴とする急性ウイルス性疾患。昔は子どもがかかる病気とされていましたが、ワクチンの普及により子どもでの流行は減っています。反対に、最近はワクチンを接種していない、20~40歳代の男性に多く感染しています。これは男性だけの問題ではありません。働き盛りの男性は、妊娠中の女性が身近にいることが多いので、妊娠初期の女性が風疹に感染すると、生まれた赤ちゃんに心臓の障害や聴力障害、白内障などを伴う先天性風疹症候群を起こすことがあるのです。

なお、ワクチン接種率が低いはずの50歳以上の男性は、風疹に感染する人が少ないです。この世代の男性は、幼少期にワクチンが十分に普及しておらず、生活環境で自然にウイルスにさらされる機会が多かったのではないかとの報告があります。感染症の流行が頻繁に起こり、自然にウイルスに触れざるをえない時代に生きていたから、すでに免疫がついているのだといいます。

【麻疹】

麻疹(はしか)は、咳、高熱、発疹を特徴とする急性ウイルス性疾患。空気感染で広がるため、飛沫感染の風疹よりも感染力が強い。ウイルスを持つ人とエレベーターに同乗しただけで、抗体をもたない人は感染してしまうくらいです。症状も風疹よりも重く、高熱や咳のほか、頭痛、動けないほどの倦怠感を伴う場合もあります。リンパ球の数値が下がり抵抗力が落ちて、肺炎などを合併することも珍しくありません。

【成人男性がおたふく風邪にかかると男性不妊になるという噂は本当?】

おたふく風邪の合併症としては精巣炎が知られますが、おたふく風邪にかかったから100%不妊になるわけではありません。あくまで両方の精巣に炎症が波及して、かつ炎症が著しい場合です。炎症の程度が弱ければ、精巣炎になったとしても問題はないはずです。世間で言われているほど、「おたふく風邪=男性不妊」に一直線に進む訳ではないようですが、感染してから不妊を心配する可能性を考えれば、ワクチンを接種しておいた方がよいでしょう。

2. ピロリ菌について

ピロリ菌は慢性胃炎や胃潰瘍になる主な原因です。つまりピロリ菌さえ除菌してしまえば、胃の病気になる確率は大幅に下がるとされています。このピロリ菌が人体に与える影響は次の3点です。

1慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍を誘発します。
2胃がんになる確率が20倍以上に跳ね上がります。
3胃MALTリンパ腫といった胃の病気にかかりやすくなります。

日本人の50%以上がピロリ菌に感染しており、中でも50代以降では保持者の割合が70%以上に達します。このように感染率の高いピロリ菌ですが、必ず胃潰瘍や十二指腸潰瘍するわけではなく、感染した人の5%が病気を発症するに留まります。しかしながら、ピロリ菌の感染が慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因になることは確実で、胃がんの発生にも深く関連しています。胃がん患者の80%以上が感染者であるとの報告もされています。

日本の健康保険ですが、ピロリ菌による慢性胃炎の患者様には2013年2月より適用されています。しかしピロリ菌を持っている、または可能性があっても胃がん・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃MALTIリンパ腫などを発症しておらず、ピロリ菌による慢性胃炎になっていない患者様には適用されません。

⇒蘇州森茂診療所ではピロリ菌検査、除菌ができます。

3. 休診日のお知らせ

4月4日(火)清明節、5月1日(月)労働節、5月30日(火)端午節は休診日となります。

あらかじめご了承ください。

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